このブログでは、バレエ初心者、バレエ未経験者でもバレエを楽しんでほしい!との思いから、単なるストーリー紹介にとどまらず、ちょっとしたウンチクも交えながら、バレエ作品を紹介しています。
知っていると、ちょっとだけドヤれる豆知識、舞台を観ていて「そういうことか!」と更にバレエが好きになる、そんなブログを目指しています。
バレエくるみ割り人形 主役が誰なのか分からない
くるみ割り人形のテーマやキーワードはどこのバレエ団もだいたい同じです。
ドロッセルマイヤー、クリスマス、くるみ割り人形、ねずみ、金平糖、各国の踊り、雪、花、これくらいのキーワードで、ストーリーは構成されています。
が、しかし!
クララが主役なの?金平糖が主役なの?見る度に演出が違うよー(。´Д⊂)
と混乱した方がいるのではないでしょうか?
チャイコフスキーの完璧で美しすぎるな楽曲に比べると、決定的な振付が現代でも存在しない!と言われるのが、この「くるみ割り人形」。
設定があまりに自由なので、世界各国、様々な振付家が様々な解釈とストーリーを展開、それに沿った数種の振り付けがあります。
しかも、くるみ割り人形は発表会で踊られることがとても多い作品。その理由は、ソリストの種類が多く見せ場がたくさん、ディヴェルティスマンの様式で練習もしやすい、そして子供たちにも分かりやすい作品だからかと思います。その場合には、更に先生方独自の改変が加えられるので・・・
そういう経緯があって、「一体だれが主役か分からん!(笑)」そんなイメージに繋がっています。
演出も設定も多種多様
ドイツのホフマン原作では、主役は、マリーです。一方、バレエの父、マリウス・プティパの台本ではクララ。そして、ロシア名はマーシャ。版も有名なものだけで15以上あります!すごい!
更に、演出も様々で、「クララが少女で金平糖が女王という設定」、「クララが成長して金平糖の精を踊るという設定」、「人形が王子に変身!」、「ドロッセルマイヤーが王子に変身!」「お菓子の国」「人形の国」と、多種多様な解釈で上演されてきました。
言葉のないバレエだからこそ成せる技、ですね。
初演のブーイング
初演はロシアです。台本がプティパ、振付がイワノフ。実は、初演作品制作中、プティパが病気になり作品が作れなくなったので、振付をイワノフが引き継いだんです。ですが!
後日、プティパは愚痴っています。「イワノフの振り付けは、前半はマイムだらけで見せ場なし!後半ではストーリーと関係ない踊りがこれでもかと続く!なんだこりゃー」って感じです。
世間でも、あまりいい評判は得られなかったそう。
しかし、この音楽ですから!我こそがくるみ割り人形の決定版だ!と、振付家は、俄然、創作意欲が沸きますよね。
クララ(マーシャ、マリー)の性格は各版共通!
呼び名も異なる、設定も異なる、演出も振付も異なる!異なるまみれの「くるみ割り人形」。
しかし、唯一、どの版にも共通していることがあります。
それは、少女クララの汚れのない純真な性格。
この性格の設定だけは、どの演出家も大前提にして振付をしたんです。
そう考えると、バレエくるみ割り人形は、純真無垢な少女のクリスマスをベースにした、愛と平和のバレエだと言えそうです。
私の大好きな雪のシーン
私自身は、過去にもアメブロで語ってきたように、バレエ作品では「コールド」のシーンが大好きなのです。
理由は色々ですが、全体の協調性が重んじられ、一体となって創り上げられるシーンが、「バレエ」を一番体現しているなあと思うからです。
くるみ割り人形の雪の情景は、どのバレエ団のどの舞台を観ても、必ず感動させてくれる最強のシーンです。
雪って冷たい印象がありますよね?けれど、本当は応援してくれている雪の精たち。
厳しい寒さの中、実は暖かくクララを迎え入れ、お菓子の国に送り出すシーンは、なんだか、厳しいバレエの中の暖かさに通じるものがあると思いませんか?
このシーンを見ると、嗚呼、バレエが好きでよかった、といつも心底思うのでした。
まとめ
そんなわけで、今回は、くるみ割り人形の「版」の数に注目して、記事にしてみました。皆様も舞台を観に行く際、この演出は、いつ、誰の演出なの?と見比べる視点を持ってみると、楽しいかもしれませんよ!