バレエ海賊メドーラのバリエーションは、なぜこんなにも種類が多くあるのでしょう

バレエ作品のこと

海賊のバリエーションを意気揚々とyoutubeで動画を検索すると・・・・あれ?
曲も振付も衣装も違う動画がいっぱい出てくるよ~~と混乱した経験はないですか?

他のバリエーションでは、例えば、「キューピッド バリエーション」で検索すると、曲はおなじみのあの曲。
衣装も多少個性はあれど、白いチュニック型の衣装ですよね。

では、なぜ海賊メドーラのバリエーションは、こんなにもたくさんの種類があるのでしょう?それは、「海賊」という作品の成り立ちが関係しているみたいです。

このブログでは、バレエ初心者、バレエ未経験者でもバレエを楽しんでほしい!との思いから、単なるストーリー紹介にとどまらず、ちょっとしたウンチクも交えながら、バレエ作品を紹介しています。

知っていると、ちょっとだけドヤれる豆知識、舞台を観ていて「そういうことか!」と更にバレエが好きになる、そんなブログを目指しています。

バレエ「海賊」という作品の基本情報

海賊は、1856年にパリで初演されたバレエ作品で三幕構成となっており、結構長丁場な作品です。

お話の舞台は、地中海。西ヨーロッパにある海です。海賊のリーダーとギリシャ娘の冒険と恋物語で、さらわれたり、助けたり、船が難破したり、愛し合ったりする感じです。超アバウトです。海賊って、ストーリー分からなくても楽しめますから!

私は舞台で実際に観たことがあるのは、Kバレエカンパニーの海賊だけ。日本で公演されることって珍しいです。(最近はそうでもないのかもしれないですが、20年前はほとんど無かった!)

見せ場が多いのでソリストをたくさん揃える必要があること、そしてなんといっても男性ダンサーの数がたくさん必要なので、日本のバレエ団でそれだけのダンサーを抱えているバレエ団が少ないから、と聞いたことがあります。

オリジナルの振り付けは、ジョセフ・マジリエという人です。音楽のオリジナルは、アドルフ・アダン。オリジナルの脚本は、ヴェルノア・ド・ サン=ジョルジュ。

昨今、上演される海賊の主流は、マリインスキー・バレエのピョートル・グーセフ版と、アメリカン・バレエ・シアター のコンスタンチン・セルゲーエフ版の二つ。

※●●版とは、オリジナル作品とは異なり、ストーリーや解釈、振付などに変更が加えられたものを指します。

ざっと、ここまでが、基本情報です。

メドーラのバリエーションで使用される曲の種類

なぜメドーラのバリエーションの種類がこんなに数多く存在するのか、その理由を知る前に、まずはどれくらい種類があるのか、代表的なものを見てみましょう!

メドーラのバリエーション

第一幕 花園の場面で踊られる

メドーラのバリエーション(パキータの曲を使用)

第二幕 洞窟でのパドトロワの中で踊られるが、実際幕物で踊られることは少ないよう。発表会やコンクールでは主流

メドーラのバリエーション(ドン・キホーテ森の女王の曲を使用)

同じく第二幕でパドトロワの中で踊られる。


メドーラのバリエーション(ラ・バヤデールのガムザッティの曲を使用)

同じく第二幕でパドトロワの中で踊られる。

 

本題。なぜ、メドーラのバリエーションはこんなに種類がたくさんあるのか

答えは簡単。色んな振付家が、色んな時代に、色んな曲を使ったから、なのでした。どの曲を、どの幕に使おうと自由!ダンサーの得意な踊りによって曲を決めていたということもあるそうですよ。

近年、幕物としての海賊が頻繁に上演されるようになるまでは、ガラ公演(各作品や各バレエ団から、人気の踊りやダンサーをピックアップし、音楽でいうフェス的要素の強い公演)などで踊られることが多かったので、その中で振付や曲に変更が加えられていったようです。

役柄を理解して踊る場合には、どの曲であろうと、「メドーラ」としての役を理解して踊ればよいですね。だって、メドーラのバリエーションですもの!

ちなみに、ガラ公演や発表会などでは、「アリとメドーラ」のパドドゥとして披露されることが多いですが、実際は、コンラッド(こっちがメドーラの恋人ですよ~。アリはコンラッドのしもべです。)も含めた三人の踊りです。なので、本来はパドトロワです。

メドーラが着る衣装

衣装も色々ありますが、クラシックチュチュタイプか、ジョーゼットのチュニックタイプの2種類が主流です。

ちなみに、私は、赤のジョーゼットチュニックを着て、ガムザッティを踊りました!身長高めなので、衣装はとっても心地よく着用できました。そして、舞台を隅から隅まで使える踊りで、とっても気持ちよく踊った記憶があります。(この際、踊りのレベルはおいておきましょ)

チュニックタイプってこんな感じ!

まとめ

ということで、今回は、バレエ初心者さんにもばっちり分かるように、メドーラのバリエーションがなぜこんなに種類があるのかについて、超ざっくりとお届けいたしました。

理由は、時代時代で、演出家により様々な曲と振付が使われたから、でした!

ぜひ、バレエの理解にお役立てください。それでは。