episode1 バレエ三昧からの挫折

ここでは、私の人生の軸となるバレエとの出会いについて、お話します。

バレエを始めるきっかけ

 私は6歳の頃、母に連れられてバレエ教室の門を叩いたあの日から、ずっとずっとバレエに魅せられてきました。何がそんなに好きだったのか?あの頃の気持ちを言葉にするのは難しいですが、漠然と、「私もバレエの先生になりたいな」「ずっとバレエをやっていたいな」そんな風に感じながら毎日を過ごしていたことを覚えています。

 私の母は、自分が子どもの頃に習ってみたかったもの、やってみたかったことは、全て私にやらせてくれました。バレエ、ピアノ、習字、水泳、コーラス、たくさんの習い事をしていましたが、私の中でバレエは別格でした。

 そのうち、どうしても通いたい中学校のために中学受験をすることになるのですが、そんな中でも、バレエだけは続けていました。毎年、舞台にも出ていたし、中1の春(=受験直後)にも舞台に出たくらいでしたから。

恩師の存在

 私がここまでバレエが大好きになったことのひとつに、憧れの恩師の存在があります。バレエ団の公演ではいつでも主役を踊り、ダンサーとしてテレビや雑誌にも出演されていたその先生は、とにかく厳しい先生でした。可憐に舞う妖精、華があり、夢中で先生の踊りを追いかけていました。

 厳しい先生でしたが、愛溢れる先生でした。「バレエは賢くないと出来ないからね、勉強はしっかりやりなさい」が口癖。バレエ以外のことも大切に生活することをいつも教えてくださっていました。

 先生にある日、私は聞きます。「先生、私もバレエで生きてみたい。出来ますか?」そんな私に、先生は手紙を書いてくださりました。そこには、日本のバレエ界の現状、経済的自立がとても難しい状況、そういった状況にも負けず踊り続ける強さ、そして家族の協力が絶対に必要です。

 バレエで生きていきたいなら、家族としっかり話し合いなさい。

バレエと家族

 バレエへの情熱が熱く燃え始めたのは、中学生になってすぐくらいの時です。私は、バレエ三昧の生活を始めます。学校の勉強はしっかりやる、バレエも頑張る。でも、なんとなく、家族が心から応援してくれていないことは感じていました。それはおそらく、湯水のように流れていくお金、好きだけどそんなに上手でもない私のバレエ、そしてプロになったからと言って経済的に自立できるわけではない。そんな状況が、家族の「後ろ向き」を産んだんだと思います。

 私はバレエを続けたいがあまり、家では自分をオープンにせず、本音も見せず、いわゆる「何を考えているのか分からない子」になっていきます。自分でもそういう自分への苦しさは感じていました。けれど、大きな反抗はできない、何故なら、バレエを辞めさせられては困るから。当時は「そういうことしてるとバレエ辞めさせるよ」というのが、母親の常套文句になっていました。この言葉がとにかく怖くて、私は、どんどん自分の殻に閉じこもるようになります。

バレエへの情熱の糸が・・・切れた

 高校生になっても、そのような生活は続きました。

そんな時です。私のバレエへの情熱が消えたのは。ちょうどその頃、バレエ教室のクラスが変わり、人間関係が少し複雑になった時期でした。今まで私が在籍していたクラスは、とにかく仲が良い、友人に会うのが楽しみなクラスでした。それが変わり、ただ純粋にバレエ、踊りを楽しんでいるだけではうまくいかないことが色々と起き始めました。

 家族の中で孤立している(と思い込んでいた)、バレエ教室でもなんとなくうまくいかない。自分のバレエ技術のレベルでは到底バレリーナにはなれないという事実。そういうものがすべてひっくるまって、 あんなに燃やしていたバレエへの情熱がフツと消えてしまったのです。

 誰にも何も相談せず、私は「バレエ辞めるね」ただそれだけ家族に伝え、すっぱりバレエの道を閉ざしたのでした。(後から聞いた話では、家族、特に母親はかなり驚いたそうです)

 今から考えると、「甘い若造だな~」と思えるのですが、当時はいっぱいいっぱいでした。このような経験から、私は、「家族の応援」は子どもの人生に影響するし、それであれば正しい応援で、しっかりとマインド面を支えたい、と考えるようになっていったのです。